あなたは介護職員の平均年収がいくらか知っていますか?
実は介護士の給料は年々増加傾向にあり、他業種と比べても引けをとりません。私は18年間、介護業界で働いてきました。現場で働いていると、介護職員の待遇がこれまでで最も良い状況にあると感じます。
この記事では介護職員の平均年収について、保有資格や勤務先のサービス種類、労働条件などによる違いをふまえて解説します。また今よりも給料をアップさせる働き方についてもご紹介します。
「自分の給料は平均より安いのかな?」「どうすればもっと給料を上げられるんだろう?」と疑問に思っている人に参考にしてもらえたら嬉しいです。
- 介護職員の平均月収・平均年収・平均手取り給与
- 企業規模別でみる平均年収の違い
- 男女別でみる平均年収の違い
- 年齢別でみる平均年収の違い
- 経験年数別でみる平均年収のちがい
- 保有資格別にみる平均年収のちがい
- 勤務先のサービス種類別による平均年収のちがい
- 短時間勤務している介護職員の平均時給
- 経験年数別でみる平均時給のちがい
- 介護職員の給料はこれからどうなる?
- 年収をアップさせる介護職員の働き方
介護職員の平均月収・平均年収・平均手取り給与
まずは介護職員全体の平均月収・平均年収を確認し、手取り給与額を計算してみましょう。
平均年齢 | 44.2才 |
平均勤続年数 | 7.9年 |
平均残業時間 | 4時間/月 |
平均月収 | 25.8万円 |
平均年間ボーナス額 | 53.9万円 |
平均年収 | 362.9万円 |
介護職員の平均月収と平均年間ボーナス額から計算される平均年収は362.9万円でした。一般的に手取り金額は総支給額の約75~85%になり、扶養家族の有無などで変わってきます。この記事では総支給額の80%を手取り給与額として計算したいと思います。そうなると介護職員の平均手取り給与額は290万円になります。
企業規模別でみる平均年収の違い
勤め先の企業規模によって年収にどのような違いがあるかみていきましょう。
企業規模10~99人 | 企業規模1000人以上 | |
---|---|---|
平均年齢 | 46.2才 | 42.8才 |
平均勤続年数 | 7.6年 | 7.7年 |
平均残業時間 | 5時間/月 | 7時間/月 |
平均月収 | 24.9万円 | 28.0万円 |
平均年間ボーナス額 | 46.6万円 | 53.3万円 |
平均年収 | 345.0万円 | 389.7万円 |
介護職員の平均年収は企業規模1000人以上だと389.7万円という計算になりました。企業企業規模が大きい方が、年収が高いことが分かります。また企業規模が大きい方が職員の平均年齢が若いことも見えてきました。安定性、将来性を考えると規模が大きい企業で働く方が有利であるという傾向が見られます。
男女別でみる平均年収の違い
男女によって平均年収にどのような違いがあるのでしょうか。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
平均年齢 | 41.3才 | 45.8才 |
平均勤続年数 | 7.8年 | 7.9年 |
平均残業時間 | 5時間/月 | 4時間/月 |
平均月収 | 27.4万円 | 24.9万円 |
平均年間ボーナス額 | 61.7万円 | 49.6万円 |
平均年収 | 390.5万円 | 347.8万円 |
介護職員の平均年収は男性が390.5万円、女性が347.8万円でした。男性の方が平均年収が高い傾向にあり、これは他業界と同様の傾向です。理由としては男性の方が正職員として働く人が多く、また世帯主として扶養手当や住宅手当などが支給されていることなどが考えられます。
年齢別でみる平均年収の違い
年齢別ではどのようなちがいが見られるでしょうか。確認してみましょう。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
~19歳 | 240.3万円 |
20 ~ 24歳 | 292.4万円 |
25 ~ 29歳 | 326.9万円 |
30 ~ 34歳 | 353.1万円 |
35 ~ 39歳 | 358.6万円 |
40 ~ 44歳 | 367.4万円 |
45 ~ 49歳 | 368.7万円 |
50 ~ 54歳 | 356.1万円 |
55 ~ 59歳 | 348.7万円 |
60 ~ 64歳 | 319.0万円 |
65 ~ 69歳 | 291.9万円 |
70歳 ~ | 260.0万円 |
介護職員の平均年収を年齢別にみると45才~49才が368.7万円と最も高いことが分かりました。その理由は働き盛りで夜勤手当や残業代などを多く支給されているということが考えられます。一方、50代以降は夜勤が難しくなるなどして年収が下がっていく傾向が見られます。
それにしても、このデータの中には70才を超えても介護職員としてがんばっている方がおられます。私の職場にも71才で現役で働いている人がいますが本当にすごいな、と思ってしまいます。尊敬です。
経験年数別でみる平均年収のちがい
経験年数別でみると平均年収にはどのようなちがいがあるでしょうか。
経験年数 | 平均年収 |
---|---|
0年 | 259.6万円 |
1~4年 | 306.5万円 |
5~9年 | 337.0万円 |
10~14年 | 360.6万円 |
15年以上 | 392.5万円 |
経験年数15年以上の平均年収は392.5万円となり、介護職員の経験年数が長いほど年収が高くなる傾向が見られました。この理由は、経験年数が長くなり介護主任や介護課長、施設長などの役職がつくことで昇給したり役職手当が支給されることが考えられます。
年齢が高くなり夜勤など厳しい働き方ができなくなっても、役職を得ていれば年収は下がらずに済むという考察ができます。
保有資格別にみる平均年収のちがい
保有資格によってどのようなちがいが見られるか確認してみましょう。
保有資格 | 平均年収 |
---|---|
介護福祉士 | 397.3万円 |
実務者研修 | 362.9万円 |
介護職員初任者研修 | 360.3万円 |
保有資格なし | 322.4万円 |
介護福祉士の平均年収は397.3万円と計算されました。介護福祉士と無資格者では平均年収が70万円以上もひらきがあります。介護福祉士と実務者研修保持者を比べても30万円以上の違いがあります。
介護福祉士は介護系唯一の国家資格であり、資格手当や昇給の面で有利になるのは間違いありません。
勤務先のサービス種類別による平均年収のちがい
勤務先のサービス種類別では、平均年収にどのようなちがいが見られるでしょうか。
サービス種類 | 平均年収 |
---|---|
介護老人福祉施設 | 417.6万円 |
介護老人保健施設 | 406.8万円 |
介護療養型医療施設 | 331.7万円 |
介護医療院 | 384.8万円 |
訪問介護事業所 | 378.2万円 |
通所介護事業所 | 330.7万円 |
通所リハビリテーション事業所 | 365.7万円 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 376.7万円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 345.6万円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 349.3万円 |
サービス種類別でみた介護職員平均年収のトップは介護老人福祉施設(特養)で417.6万円。次いで介護老人保健施設(特養)の406.8万円となりました。これは夜勤手当が支給されるという理由の他に、運営母体の影響があると考えられます。特養や老健の運営母体は社会福祉法人や医療法人であり、規模もそれなりに大きいところになるからです。
一方、認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)も夜勤手当の対象となりますが、平均年収は349.3万円と低めです。グループホームは株式会社でも運営可能で、比較的小規模の企業が経営しているところが多い実情があります。
また、夜勤のない通所介護事業所(デイサービス)の場合、平均年収が330.7万円と低めになっています。
あくまで平均値をもとに傾向を見出しただけですが、このような結果となりました。
短時間勤務している介護職員の平均時給
ちなみに短時間労働している場合、平均時給はいくらになるでしょうか。確認してみましょう。
平均年齢 | 54.1才 |
平均勤続年数 | 6.1年 |
1か月の平均勤務日数 | 14.8日 |
1日の平均勤務時間 | 5.9時間 |
平均時給 | 1261円 |
平均年間ボーナス額 | 6.2万円 |
介護職員の短時間勤務者の平均時給は1261円でした。
経験年数別でみる平均時給のちがい
経験年数別でみると平均時給にはどのようなちがいがあるでしょうか。
経験年数 | 平均時給 |
---|---|
0年 | 1151円 |
1~4年 | 1222円 |
5~9年 | 1240円 |
10~14年 | 1311円 |
15年以上 | 1351円 |
介護職員の経験年数が長いと時給も高くなる傾向が見られ、15年以上だと1351円でした。
介護職員の給料はこれからも伸びると予想できる
日本の少子高齢化が進む中、介護職員の確保は非常に重要な課題です。介護職員の賃上げは必須であり、そのために近年さまざまな加算が創設され、介護職員に対する手当がどんどん手厚くなっています。
一例として「介護職員処遇改善加算」があります。加算Ⅰを取得すれば介護職員1人あたり月額3万7千円相当の賃金改善が可能です。
介護職員の給料は年々増加しており、今後もこの傾向は続くと予想されます。
年収をアップさせる介護職員の働き方
もし、みなさんが今よりも年収をアップさせたいと考えているなら次の3つの働き方が考えられます。
- 介護福祉士を取得する(昇給や資格手当を目指す)
- 出世する(昇給や役職手当を目指す)
- 転職する(今より良い条件で働く)
介護福祉士を取得して、昇給や資格手当を目指す
まだ介護福祉士を持っていないという人は、ぜひ介護福祉士を取得してください。介護業界で働くなら年収アップには必須の条件です。
資格取得までの流れに関してはこちらの記事をご参照ください。
出世して、昇給や役職手当を目指す
今の職場で勤続年数を増やし出世するという方法もあります。特に「職場の介護方針が自分に合っている」「職員同士の人間関係が良い」と感じる人には出世を目指すことをオススメします。出世をオススメする5つの理由についてはこちらの記事をご参照ください。
転職して、今より給料の高いところで働く
出世のタイミングがつかめなさそうなら、転職して年収アップを狙う方法もあります。転職先には介護老人福祉施設(特養)や介護老人保健施設(老健)など社会福祉法人や医療法人が運営している施設・事業所を選ぶ方が年収アップを見込めると思います。
今、介護業界は引く手あまたであり、あなたにあった職場が見つかる可能性が高まっています。転職には介護専門の転職エージェントの活用がオススメです。もちろん完全無料です。5つのメリットに関してはこちらの記事をご参照ください。
まとめ:平均年収より高い働き方をしよう!
介護職員の平均年収について保有資格や勤務先のサービス種類、労働条件などによる違いをふまえて解説しました。
あなたは今、平均よりも高い年収で働いていますか?今の職場で資格取得や出世を目指したり、それが難しい場合は転職するなどして、ぜひ平均年収より高い働き方を実現してくださいね。介護職員として良い条件で働けることを祈っています。
参考文献/URL
賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果,厚生労働省老健局老人保健課
賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 短時間労働者