ハラスメント

介護現場のハラスメントと具体例:職場がブラックか見極める方法①

【PR】「ラブカイゴ」は複数の企業とアフィリエイトプログラムを提携しています。当記事は参考文献や筆者の経験などにもとづき執筆しており、情報の根拠を明示しています。

自分の施設がブラックかホワイトか判断することは難しいと思います。どんな職場にも良い面と悪い面があり、多少のことでブラックだと声を上げるのに抵抗のある人もいるでしょう。

ですが、ハラスメントが日常的に行われている職場は要注意です。ハラスメントは被害者個人だけではなく、職場全体に悪影響をおよぼします。

私は18年間介護業界で働き今は管理職をしています。過去にハラスメントを受けた職場から転職した経験があり、現在はホワイトな環境で働いています。

ハラスメントが横行している職場は間違いなくブラックだと言えるでしょう。まずはハラスメントとは具体的にどのようなものか認識することが重要です。

この記事では介護現場で見られるハラスメントの種類と具体例について解説します。

あなたの職場にハラスメントはありますか?この記事で解説するハラスメントを確認して、自分の施設がブラックかどうか判断する際の参考にしてもらえたら嬉しいです。

パワハラと具体例

パワハラは「パワーハラスメント」の略で、上司や先輩などの立場を利用し職場内で相手を傷つける行為を指します。パワハラには6つの種類があり、具体例を表にまとめました。

パワハラの種類具体例
身体的な攻撃物を投げつけられ体に当たった
精神的な攻撃他の介護職員の前でささいなミスを大きな声で叱責された
人間関係からの切り離し先輩・上司に挨拶しても無視され、挨拶してくれない
過大な要求終業まぎわなのに、時間のかかる仕事を毎回押し付けられる
過小な要求専門職なのに、倉庫やトイレなどの掃除を必要以上に強要される
個の侵害休みの理由を根ほり葉ほりしつこく聞かれる

パワハラを受け続けると職員は過度なストレス受け、体の調子が悪くなったり、精神的な落ち込みが見られたりします。病気になり、介護の仕事を続けられなくなる場合もあるでしょう。パワハラの被害者だけでなく、それを見た周囲の職員にも悪影響が出ることもあります。パワハラは許されるものではありません。

「介護現場のパワハラの具体例をもっと知りたい」「自分の体やメンタルに影響が出ていないか心配」と思った人はこちらの記事に詳細が書いてありますのでご参照ください。パワハラから身を守る方法も解説しています。

許されない!【上司や先輩からのパワハラ】介護職員が自分の身を守る4つの対策 介護士はストレスの多い仕事と言われています。利用者の健康・生活のために、多少のストレスを抱えながら仕事に取り組んでいる人は多いでしょう...

セクハラと具体例

職場におけるセクハラとは、自分の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否した時に不当な扱いを受けたり、職場環境が悪くなり働くのに支障が出る状態を指します。

具体的には、次のようなものがあります。

  • 廊下や事務所などで上司が女性の部下の腰などにたびたびさわってくる
  • 会話中に性的な冗談やからかいをしてくる
  • 食事やデートへしつこく誘ってくる

セクハラの被害を受けるていると仕事への意欲が低下したり、気分が落ち込むなどの影響が出る可能性があります。またPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの病気になってしまう場合もあり、対策は必須です。

セクハラが行われたらはっきりと拒否し、上司や職場の窓口に相談しましょう。職場で相談しても解決しない場合、各都道府県に設置された労働局雇用環境・均等部へ相談することもできます。

決して泣き寝入りせず、行動を起こしましょう。

逆セクハラと具体例

逆セクハラとは『男性が女性から受けるセクハラ』のことを意味します。一般的にセクハラは男性から女性に向けて行われることが多いため、逆に行われるセクハラという意味で使われています。具体例は以下の表のとおりです。

逆セクハラの種類具体例
セクハラ発言「なんで結婚しないの?」「私の胸元見てたでしょ?」などの発言
男女差別「男なんだから」と力仕事を押し付けられる
体を触られる女性利用者が抱き着いてくる
服装など必要以上に露出度の高い格好を見せつける

セクハラの被害を受けた男性は、女性同様に精神的な落ち込みなどの悪影響が出ます。「男ならこれくらい我慢しなければ」「男がセクハラの相談なんて恥ずかしい」などと思わないようにしましょう。

「介護現場の逆セクハラの具体例をもっと知りたい」「自分は逆セクハラの被害にあっているかも」と思った人はこちらの記事も参考にしてください。逆セクハラを防ぐ方法も解説しています。

【逆セクハラを防ぐ】男性介護士が受けるセクハラの具体例と3つの対処法 『逆セクハラ』という言葉をご存じですか?男性が女性から受けるセクハラのことを言います。女性職員が多い介護業界では意外と気づかれにくいか...

SOGIハラ(ソギハラ)と具体例

SOGI(ソギ)とは「Sexual Orientation・Gender Identity」の略で、性的指向や性自認を意味する言葉です。SOGIに対する差別や嫌がらせをSOGIハラ(ソギハラ)と言い、LGBTなどのセクシャルマイノリティの人たちへの差別がこれに該当します。

具体的には次のようなものがあります。

  • ゲイやレズビアンを気持ち悪いと差別する
  • LGBTの人を無視する
  • 本人の許可なくLGBTであることを周囲に言いふらす

多様性が認められる現代において、SOGIハラの概念は今後どんどん浸透していくでしょう。介護現場でも意識して対策していく必要があります。

マタハラと具体例

マタハラとは「マタニティハラスメント」の略で、女性労働者が妊娠したり育児休暇を希望することに対して上司や同僚から嫌がらせをなどを受けることを指します。

具体的には次のようなものがあります。

マタハラの種類具体例
制度利用に対して育児休業の取得を相談した女性職員に「休みをとるなら辞めてもらう」と言う
状態に対して妊娠した女性職員に「なんで忙しい時期に妊娠するんだ」と冗談を言う

平成29年よりマタハラ対策が事業主に義務付けられました。もしマタハラを受けていると感じたら、セクハラ同様、泣き寝入りせずに職場の窓口や労働局雇用環境・均等部に相談してください。

カスハラと具体例

カスハラとは「カスタマーハラスメント」の略で、利用者や家族から受けるハラスメントのことをいいます。カスタマーは「お客さん」という意味です。過度なクレームや悪質な迷惑行為はカスハラに当たります。

具体的には以下のようなものがあります。

  • 気に入らない職員に対し「おまえじゃダメだ」「役立たず」「帰れ」と人格などすべてを否定するような辛辣な言葉を浴びせる
  • デイサービスの送迎時に「肉を買いたいので帰る前にスーパーに寄って欲しい」と頼まれ、断ると激怒する
  • 女性職員の胸やお尻を触り、注意してもやめようとしない

介護職員は「自分たちは介護のプロなのだから、ちょっとくらいハラスメントを受けても我慢するべきだ」と考えるかもしれません。でも、それは違います。介護職員は守られるべき存在なのです。

カスハラには職場全体で対応することが必要です。最終手段は利用契約を解除することですが、契約解除までのプロセスは丁寧に進める必要があります。詳細はこちらの記事をご参照ください。

【介護のカスハラ】我慢すべき?利用者の暴言、暴力、セクハラを防ぐ4つの対策 介護士のみなさんは利用者から暴言や暴力、セクハラを受けたことはありますか?多くの介護士が「ある」と答えると思います。現場では利用者から...

いじめと具体例

職場のいじめは「いやがらせや、社会的に誰かを除外するなどの行為であり、繰り返し、一定の期間にわたって起こるもの」と定義されます。

職場のいじめを確認する方法のひとつにNAQ-R(Negative Acts Questionnaire Revised)という質問があり、一例をご紹介します。

NAQ-R日本語版(一例)
あなたが仕事をする上で影響を及ぼすような情報を与えてもらえなかった1度も ない時々月に1回週に1回毎日
あなたがいないかのように振る舞われた、のけものにされた、もしくは仲間外れにされた1度もない時々月に
1回
週に
1回
毎日
怒鳴られた、あるいは、いきなり怒り(もしくは激怒)の矛先を向けられた1度もない時々月に
1回
週に
1回
毎日
仕事を辞めるべきだとほのめかされた、もしくは態度で示された1度もない時々月に
1回
週に
1回
毎日
参考:労働者における職場のいじめの測定方法の開発とその実態、健康影響および関係要因に関する調査研究,川上憲人 他,産業医学振興財団,2009

該当する項目、頻度が多いほど、悪質ないじめが行われていると言えます。

いじめは被害者個人だけの問題ではありません。職場全体に悪影響を及ぼします。見て見ぬふりはできません。勇気をふり絞って改善に向けた行動をとる必要があります。いじめの具体例や対策について、詳細はこちらの記事をご参照ください。

【介護職場内のいじめ】見逃さない!いち早く発見して対処する方法 みなさんは、介護職場内でのいじめを見たり聞いたりしたことはありますか?もしくはあなた自身がいじめの被害者になっていないでしょうか? ...

まとめ:職場にハラスメントがないか確認しよう

この記事では介護現場で見られるハラスメントの種類と具体例について解説しました。ハラスメントが横行した職場はブラック施設であると言えます。あなたの職場がブラックかどうか判断する際の参考にしてもらえたら嬉しいです。

ハラスメントは許されるものではなく、あなたは守られるべき存在です。もし自分の職場でハラスメントが行われているとしたら組織的に対策する必要があります。

まずは状況を記録に残したり、上司に相談するなどして対策をとってください。みなさんがハラスメントに屈することなく、ホワイトな施設で自分らしく働けることを願っています。

職場でハラスメント対策ができないなら転職も考えて

上司や同僚の協力が得られず職場全体でのハラスメント対策ができない場合、職場を変えることも検討してみてください。今、介護職員は引く手あまたであり、あなたに合う職場が見つかる可能性が高いです。転職を検討するなら介護専門の転職サイトを使うことをお勧めします(※完全無料です)。理由はこちらの記事をご参照ください。

介護の転職エージェントとは?特徴や使い方、どんな人にオススメか解説します 『介護の転職エージェント』がどのようなものかご存じですか?広告などで見かけたことがあるかもしれませんが、くわしく理解している人は意外と...

参考文献

(労働者向けハラスメント対策パンフレット)職場でつらい思いしていませんか?,厚生労働省

(労働者向けパンフレット)悩んでいませんか?職場でのセクシュアルハラスメント,厚生労働省

介護現場におけるハラスメント対策マニュアル,株式会社 三菱総合研究所,2022

介護保険最新情報Vol.945,厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課,2021

SOGIハラスメントとは 具体例や遭遇したときの対応 – 記事 | NHK ハートネット

労働者における職場のいじめの測定方法の開発とその実態、健康影響および関係要因に関する調査研究,川上憲人 他,産業医学振興財団,2009

介護老人福祉施設に勤務する介護職員のいじめ,ハラスメントとストレス反応,谷口敏代 他い,産業衛生学雑誌,2012