介護環境

対応に悩む利用者にはコレ!誰でもできる【ケースカンファレンス】で解決策を出す方法

【PR】「ラブカイゴ」は複数の企業とアフィリエイトプログラムを提携しています。当記事は参考文献や筆者の経験などにもとづき執筆しており、情報の根拠を明示しています。

介護現場で対応に悩む利用者に直面したことはありますか?たとえば

  • 帰宅願望が強くて職員の言うことを聞いてくれない
  • 入浴や排泄の介助を拒否して汚いままの状態になっている
  • 気に入らない職員に対して怒鳴ったり、手をあげたりする

など色々な場面があると思います。このような場合、同僚や上司に相談しても答えが出ないこともあるでしょう。どう対応すればよいか分からず自分自身の無力感を感じたり、利用者に対してイライラしてしまうこともあるかもしれません。

でも、そんな時でも解決策を導き出す方法があります。それはケースカンファレンスを開催することです。

筆者は18年間、介護業界で働いてきました。ケースカンファレンスをすると、対応に悩む利用者にも自然と解決策が導き出されます。そして利用者が穏やかさや笑顔を取り戻し、健康でいきいきとした生活に近づくことができます。

でもケースカンファレンスって事前の準備が大変そう。自分の職場でそんなことできるのかな?と考えている人もいるかもしれません。

そこでこの記事では、誰でもできるケースカンファレンスの開催方法について解説します。またカンファレンスで使える書式もアップします。『対応に悩む事例をなんとか解決したい。』『職員みんなで話し合いたいけど、自分一人ではどうして良いか分からない』と考えている人に参考にしてもらえたら嬉しいです。

ケースカンファレンスとは

『ケースカンファレンス』とは、ある利用者に対してどのようにケアをすれば良いか職員みんなで話し合うことです。『事例検討会』『ケアカンファレンス』など色々な呼び方があります。

職員一人では答えを出せなくても、みんなで話し合うことで知らなかった情報が共有されたり、課題が整理されたりします。職員の悩みを共有できるだけで、心が楽になることもあります。ケースカンファレンスでこのような話し合いをすることで『今、介護職員は何ができるか』という解決策が自然と導き出されます。

では、どのようにケースカンファレンスを開催すればよいのでしょうか。5つの事前準備から始めましょう。

5つの事前準備

  1. 開催を提案する
  2. 議題を明確にする
  3. 日時を決定する
  4. 参加者を募る
  5. 役割分担をする

1.開催を提案する

まずはケースカンファレンスを開催したいという意思を、上司や同僚に伝えましょう。ケースカンファレンスは一人では開催できません。職場みんなの協力が必要です。職場全体で取り組めるように、上司や同僚に開催の根回しをしておきましょう。

2.議題を明確にする

次にケースカンファレンスで利用者(対象者)の何について話し合いたいのか決めましょう。これがケースカンファレンスの議題になります。『利用者の課題は何なのか』『職員は何に困っているのか』をはっきりさせておくことが重要です。

議題を明確にしたら、カンファレンス前に職場のみんなにお知らせしておきましょう。そうすると対象者に対する職員の意識が高まり、カンファレンスがよりスムーズに進行できます。

3.日時を決定する

できれば勤務時間内で開催するのが理想的です。しかし人員不足などによってどうしても勤務時間外に開催する場合もあるでしょう。その場合は残業の対象となるか上司に確認しておきましょう。

時間は30分から、長くても60分程度で終わるようにしましょう。あまり長く話しても職員の集中力が持たないし、カンファレンスをダラダラ続けると話がそれてしまう可能性が高くなります。

4.参加者を募る

日時が決まったら、開催の旨を職員に知らせ、参加者を募集しましょう。視野の広い話し合いをするためには介護職員だけでなく、他の職種にも参加してもらうと良いでしょう。

また管理者や施設長などの役職者にも声をかけ、議論が難航した時にサポートしてもらえるよう依頼しておくと当日の進行がスムーズになります。

5.役割分担をする

当日の役割分担を事前にしておきましょう。必要な役割は次の3つです。

  1. 司会進行
  2. 発表者
  3. 書記

役割のある人もあまり気負いせず、いつも通りの雰囲気でざっくばらんに話せるくらいがちょうど良いです。役割をお願いする際はかしこまり過ぎずにしましょう。

事前情報のまとめ方

発表者は、議題や対象者の情報を事前にまとめておきましょう。必要な情報を欠かさないようにしつつ、なるべく簡潔にまとめることが重要です。でも、これがなかなか難しい。何をどのようにまとめたら良いか分からないという人も多いと思います。

そこで誰でも簡単に情報や課題をまとめられるよう、ケースカンファレンスの参考書式をアップしておきます。よろしければこちらをご参考に事前情報をまとめてみてください。

当日の進行

態度

ケースカンファレンスは司会の進行に合わせて行われますが、参加者の態度も非常に重要です。当日の参加者には以下のお願いをしておきましょう。

  • 他の人の意見に耳を傾けること
  • 他の人の意見を一方的に否定・批判しないこと
  • 積極的に発言すること
  • 建設的な意見交換になるようこころがけること

解決策の決め方

司会の進行に合わせカンファレンスの終盤には解決策を決定しましょう。あいまいな解決策にならないように次のことを具体的に決めていきます。

  • 何を実行するのか
  • 誰が実行するのか
  • いつ実行するのか
  • なぜ実行するのか

このように具体的に解決策を出すことで行動にうつしやくなります。書記はこれらをもらさず議事録に記載しておきましょう。

終了後、解決策が実行されたか点検する

カンファレンスが終了したらそれでおしまい、というわけではありません。決定された解決策を実行することが最も重要です。そして実行した結果どうだったのかを確認し、改善策が良かったのか悪かったのか判断していきます。

【まとめ】書式を活用してケースカンファレンスを開催しよう

この記事では誰でもできるケースカンファレンスの開催方法について解説しました。簡単なカンファレンスで構いません。まずはみんなで情報共有すること、そしてみんなで解決策を考え合うことが重要です。紹介した書式を活用してぜひケースカンファレンスを開催してみて下さい。

対応に悩む利用者でも職場のみんなと一致団結して解決策を考えたい、そう考えている人が勇気を出してケースカンファレンス開催に向けて行動してもらえたら嬉しいです。そして解決策の次なる一手が打たれることを願っています。

自分だけでは開催できないかもしれないという人

ケースカンファレンスの開催をしたいけど、うまく準備できない。もしくは当日の司会進行ができないという方はご連絡頂ければ筆者がアドバイザーとしてお手伝いすることも可能ですので、お問い合わせフォームからご連絡ください。

>>ラブカイゴお問い合わせフォーム

自分の職場では開催できる雰囲気じゃないという人

もし、自分の職場ではケースカンファレンスを開催できそうにない、そんな雰囲気じゃない、という人は、ひょっとしたら職場を変えた方が良いかもしれません。介護はチームアプローチです。職場のみんなが一丸となって取り組めない環境では、絶対に良いケアサービスを提供できません。それでは仕事へのモチベーションが下がってしまいます。

少しでも職場を変える(転職する)ことを検討している人は、介護専門の転職をサイトを使うことをおすすめします。理由はこちらの記事をご参照ください。

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参考文献/URL

看護師と介護員によるケースカンファレンスを通して,松田朱実,日本ハンセン病学会雑誌,2007

介護過程の展開における思考プロセスに関する考察,福原裕子,美作大学紀要,2006

地域包括支援センターにおける包括的ケアに向けたケースカンファレンスの基準づくり,水村純子 他,保健医療科学,2014