あなたは介護の仕事にやりがいを感じていますか?なかには「介護なんて心も体も疲れるだけで、やりがいなんてない…もう辞めたい」と考える介護職員もいると思います。
確かに介護の仕事は大変です。でも本当にやりがいのない仕事なのでしょうか。
私は19年間介護業界で働いています。途中で2回職場を変えていますが、介護という仕事には非常に働きがいを感じています。
介護職員がやりがいを感じるのはどのような時なのか。どんな時にやりがいを感じられなくなり仕事を辞めたいと思うのか。この記事では介護職のやりがいについて統計データを元に筆者の経験を交えながら解説したいと思います。またやりがいを感じられなくなった時の対処方法もご紹介します。
介護にやりがいを感じられなくなり、辞めたいと思っている人に参考にしてもらえたら嬉しいです。
- 介護職員でやりがいを感じる人は全体の53.6%
- 利用者の役に立てることにやりがいを感じる人が多い
- やりがいを感じるには職場の介護方針が自分にあっていることが重要
- 介護をすることで自分のなりたい姿を追求できる
- 職場の人間関係が悪い時にやりがいを感じられない人が多い
- 仲の良い友人・知人と過ごす
- おいしいものを食べる
- 家でゆっくり体を休める
- ぐっすり眠る
- ショッピングをする
- ドライブや旅行に行く
- お酒を飲む
- 家族と過ごす
- スポーツを適度にして体を動かす
- 趣味活動や習い事をする
介護職員でやりがいを感じる人は全体の53.6%
仕事の内容・やりがい | |
---|---|
満足 | 17.8% |
やや満足 | 35.8% |
普通 | 36.7% |
やや不満足 | 5.2% |
不満足 | 2.1% |
無回答 | 2.4% |
満足度 (満足・やや満足) | 53.6% |
介護の「仕事の内容・やりがい」に対する満足度は(53.6%)となっています。約半数の人が仕事に満足しているという結果ですが、具体的にどのようなことにやりがいを感じるのでしょうか。
利用者に役に立てることにやりがいを感じる人が多い
介護職員のやりがいに関する内容(上位4件) | 人数(全218名) |
---|---|
利用者の笑顔を見ること | 60名 |
利用者・家族から感謝されること | 49名 |
利用者の身体・精神状態が維持・向上すること | 26名 |
介護の仕事に対する価値観があること | 14名 |
こちらの調査で最もやりがいを感じるのは「利用者の笑顔を見ること」であり「利用者・家族から感謝されること」「利用者の身体・精神状態が維持・向上すること」と続きます。介護のやりがいに関しては「利用者の役に立てること」が大きいことが分かります。
また「介護の仕事に対する価値観があること」もやりがいに大きくかかわっています。利用者は十人十色、千差万別ですが、その利用者に対してどのような価値観で接するのかは、介護をする上で考えなくてはいけません。職場の介護方針が自分の方針に合っているかどうかで、やりがいは変わってくるでしょう。
介護をすることで自分のなりたい姿を追求できる
介護は人のためになる仕事です。人の役にたてるということは、それだけで嬉しいものです。仕事を通して利用者に満足してもらえたら、介護職員も幸せな気持ちになるでしょう。
また介護は人の一生をみていく仕事でもあり、利用者との関りを通して介護職員の方が刺激を受けることもあるでしょう。
これは介護職員だからこそ味わえる感覚です。介護をしているからこそ、仕事を通して幸せな気分になったり、人生の意味を感じたりすることができます。
マズローの基本的欲求階層で言えば最もレベルの高い「自己実現の欲求」を満たしていることになります。介護職は「自分のなりたい姿」を追求できる、非常に魅力的な仕事です。
働きがいを感じられない原因トップは職場の人間関係
仕事をやめたいと思うとき(複数回答) | 施設介護員(全146人) |
---|---|
職場内の人間関係がよくないとき | 79人 |
給料が安いと感じたとき | 61人 |
職場で認められていないと感じたとき | 48人 |
利用者の事故があったとき | 39人 |
体調を崩したとき | 36人 |
仕事が単調であると感じたとき | 26人 |
利用者の家族からのクレームがあったとき | 21人 |
責任ある立場になったとき | 19人 |
利用者からのクレームがあったとき | 15人 |
介護にやりがないと感じる時は、どんな時でしょうか。たとえば、仕事をやめたいと思う時はどんな時かという調査をみてみましょう。
最も多いのは「職場の人間関係がよくない時」でした。一方「利用者からのクレームがあった時」「利用者の事故があった時」など利用者が原因でやめたいというのは比較的少ない印象です。「職場内の人間関係」が働きがいにかかわる重要な要素であることが分かります。
あなたの働く職場の人間関係はどうですか?次の質問に答えてチェックしてみましょう。
- 上司は仕事上の問題で困っているとき、相談にのってくれる
- 上司は仕事ぶりを好意的に励ましてくれる
- 同僚は仕事の負担が大きいときは仕事への支援をしてくれる
- 同僚は仕事のどこがうまくいかなかったかをいってくれる
- 職場での人聞関係は全体としてうまくいっている
- 他の専門職との人聞関係はうまくいっている
これらの質問に対して「そう思う!」という回答が多い人は職場内の人間関係は良好だといえます。反対に「全くそう思わない」という回答が多い人は職場内の人間関係は悪いです。
ちなみに給料が安いと感じた時も、それなりのやめたい理由となっています。介護職員の給料に関してはこちらの記事もご参照ください。
介護職員のリフレッシュ方法ベスト10
仕事のやりがいを感じられない時はどうすればよいのでしょうか。リフレッシュ方法について調査した結果があります。
リフレッシュ方法はなにか | 施設介護員(全146人・複数回答) |
---|---|
1位:仲の良い友人・知人と過ごす | 83人 |
2位:おいしいものを食べる | 79人 |
3位:家でゆっくり体を休める | 75人 |
4位:ぐっすり眠る | 73人 |
5位:ショッピングをする | 65人 |
6位:ドライブや旅行に行く | 63人 |
7位:お酒を飲む | 55人 |
8位:家族と過ごす | 40人 |
9位:スポーツを適度にして体を動かす | 34人 |
9位:趣味活動や習い事をする | 34人 |
1位は「仲の良い友人・知人と過ごす」、2位は「おいしいものを食べる」でどちらも全体の半数以上の人が挙げています。
介護職員がやりがいをもって仕事を続けるためには、心身の適度な休養が不可欠です。いきいきと働くためにプライベートと仕事は切り離して、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけましょう。
まとめ:適度にリフレッシュしてやりがいを保とう!
介護職員の仕事のやりがいについて解説し、リフレッシュ方法ベスト10を紹介しました。介護は自分らしさを追求できる魅力的な仕事です。自分に合ったリフレッシュ方法で十分休養をとって、仕事のやりがいを見失わないようにしてくださいね。
職場と相性が合わずやりがいを感じられない場合
介護のやりがいには職場環境が大きく影響しています。職場の介護方針が自分と合わなかったり、人間関係が悪いと仕事のやりがいは感じられません。
また現場の人員が足りなく休みもなく出勤している…などのブラックな環境で働いている場合は、やりがいなんて感じられるわけがありません。
合わない職場のせいで介護を辞めてしまうのは本当にもったいないと思います。そんな時は転職することも考えてみてください。
今、介護業界は人手不足であり求職者に有利な状況です。少しでも転職に興味がある人には介護専門の転職エージェントを活用することをおすすめします。理由はこちらの記事をご参照ください。
やりがいを持って介護の仕事を続けてもらえたら嬉しいです!
参考文献/URL
令和3年度 労働者調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」,公益財団法人 介護労働安定センター,2022
介護福祉専門職の仕事のやりがい感に影響を及ぼす要因:施設介護員と訪問介護員の比較による検討,八巻貴穂,北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要,2016
特別養護老人ホームにおける介護職員の仕事のやりがいに関する研究,小野内智子 他,大妻女子大学人間関係学部紀要,2014
特別養護老人ホームにおける介護職員の仕事の有能感に関連する要因-利用者との関係と職場内の人間関係に焦点をあてて-,蘇珍伊 他,社会福祉学,2007
マズローの基本的欲求の階層図への原典からの新解釈,廣瀬清人 他,聖路加看護大学紀要,2009
介護職の人材育成に関する一考察,吉田直美,日本福祉大学経済論集,2011